一歩一歩の奇跡 — 柏から届いた希望の足音

2025年10月8日

開院して4か月、柏から来院くださる多くの患者さんに感動し、エネルギーを頂いている。感激である。

6月23日ドアが開き、汗びっしょりで姿を見せたのは柏からの女性の患者さんだった。
クリニック移転前のある日、その方の「私にも行けるでしょうか?」という問いに対し、柏の私のクリニックの女性スタッフが「無理でしょう。」と即座に返したその患者さんだ。
70歳代の女性で一昨年7月22日、第3から第6頚椎レベルでのヘルニアと狭窄があり、転倒を機に歩行が困難となり来院された。
一時的な外傷機転で神経症状が増悪したものと考え治療とリハビリを行った。
その際、出来る限り毎日のように来た方がいいですよ、と話した。
毎日歩いて通う事自体がリハビリであり、信じて黙々と通う事が改善につながると考えているからだ。
お話好きで多少話が長くなってしまうこともある方である。柏では本当に毎日のように真面目にリハビリに通われたが、守谷へのクリニック移転後は駅から普通に歩いて15分はかかる事から私も無理だろうと思っていた。

ところが汗だくで目を輝かせて入ってきたのはその患者さんだった。
聞けば迷って遠回りして歩いていたが、途中で親切な若い女性に地図をお見せしたらここまで案内してくださったと言う。
その若い女性も何て素敵な方だろうと思ったが、ニコニコしながらキラキラして話す患者さんに目が覚める思いがした。
「疲れた」とは言わなかった。「ちょっと時間はかかったけど、普通に歩けました。」とおっしゃった。下肢に痙性があり、かなり大変だったはずだ。苦になさっている様子は微塵も感じなかった。初めて来院されてから、確かに握力はアップし後ろ手でエプロンのリボンが結べ、髪の毛も結えるようになり、膝の屈曲が可能になり下肢の柔軟性もやや改善してきてはいた。
延々とここまでの道すがらを語られる患者さん。驚きと感動で心が一杯で、いつもと違って少しも長く感じられなかった。

信じて信じて信じ抜き、黙々と前に進む事。
それが回復につながる。
それが道を開き、生きるエネルギーになる。私はそう確信している。

柏から通い続けてくださる患者さんたちの信頼に心から感謝し、新しいクリニックの励みとしていきたい。

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守谷でのクリニック開院に至ったきっかけ